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地蔵信仰

町端・村はずれ・四つ辻・岐れ道など、町内あちこちに地蔵様を祀ったお堂が多い。地蔵信仰は中世以来の民俗で、今日に至ってもなお民間にひろく持続されている。地蔵信仰の起源は平安時代末期にさかのぼり、さらにそれは中国伝来のものである。浄土教が盛んになるにつれて、地獄極楽世界の考え方が広まった。冥土(死後の世界)に行った死者が、地獄で閻魔大王の裁きを受けて苦しむのを、地蔵菩薩が救ってくださるという信仰観よるものである。こうしたありがたい仏様をまつる民俗が生まれた。

さらに古くから、村里の境に道祖神がまつられていた。道祖神は「サヘノカミ」といわれ、村境にあって天災悪疫などを持ちこむ邪霊をさえぎる神であり、道行く人を悪魔から守る行路の神、旅の神でもあった。村内の安寧を守るための神として古代中世以来あつく信仰されてきた。

中世以降、地蔵がこの世とあの世との境にあって、死者が冥土へおもむくとき地獄行きを救い出してくれるという観念と、古くから伝えられてきた道祖神が村境にあって悪魔をさえぎって守ってくれるという観念との近似性が習合して、道祖神信仰が次第に地蔵信仰へと結びついたのである。

出典

福光町史編纂委員会編『福光町史 上巻・下巻』1971年

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