文化芸術まつり

ねつおくり

ねつおくりの画像
サムネイル

解説

ねつおくり(熱送り)は、五穀豊穣を願う農村のお祭りです。夏の盛り、土用の三番に行われます。他の地方で見られる「虫おくり」のことで、虫送りは一般に初秋のころに、鐘や太鼓を打ち鳴らして、稲田に害虫が群衆するのを追いますが、ねつおくりの場合は虫ではなくカビ(稲熱病・いもち)を送ります。かつては米の生産に関する神事であり、農民にとっては重大で真剣な行事でした。「ねつおくり」という呼称がどうして生まれたかは不明ですが、当時稲熱病には防除法がなく、あっと言う間に拡大していく稲熱の恐ろしさを防ぐには、神頼みするほかなかったのではないか、と言われています。

ねつおくりの日は各集落ごとに集まって、威勢よく太鼓を打ち鳴らします。正午過ぎから、各集落の田園の間を太鼓を打ち鳴らしながら練り歩き、五色の短冊で飾った葉付の青竹で稲田の上を払い、「オクルワァイ、オクルワァイ、熱オクルワァイ」と叫びながら集落全体を回ります。

戦後は農薬の普及、農業技術の進歩に伴い、「祈り」「みそぎ」「祓い」の意味は薄らぎ、町や集落の行事として行われるようになりました。現在も市内各地域でねつおくりが行われており、なかでも福光・荒木地区のねつおくりは、江戸時代からの長い歴史を持ち、市の無形民俗文化財に指定されています。

地図

参考文献

・福光町史編纂委員会『福光町史 下巻』1971年
・福光町史編纂委員会『福光町史 下巻』2011年

SNSでシェアする

まつり 一覧
ページトップ